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フリーの小噺と好きな音楽

加齢による毛髪量の変化を、上手に装飾されている名盤5選

今日は絶対「ハ○」という言葉を使いません!

 

いいですか、皆さん。多かれ少なかれ、どんな人でも毛髪の量や質は加齢によって変化します。毛髪に限らず、どんなモノでも経年使用すれば多少の形態変化が生じますし、ヘラクレイトスも「万物は流転する」と言っています。そうした多様な変化の形を、簡単に、たった二文字の言葉で全部カテゴライズしないでください。私も、頭頂部に「つむじ」と言い切っていいのかどうか微妙な空白地帯がございますが、それを例の二文字で処理されることについては断固拒否の意思を明確にさせていただきます。この空きスペースはアレです、まあ駐車場にでもして活用しようと予定しているところです。ちょうど安定した副業収入を得たいと思っていましたし。

 

というわけで、本日は「経年使用による毛髪量の変化」をどのように装飾するか、その道では定評のあるミュージシャン各位に学んでいきたいと思います。それぞれに、「装飾テクニック」「ごまかし度」「オススメ曲」と解説を付記しておりますので、ぜひご参照ください。

 

 

 James Tayler 『Covers』 

 

カヴァーズ【完全版】

カヴァーズ【完全版】

 
  • 装飾テクニック:かぶりもの
  • ごまかし度:★★★
  • オススメ曲:「wichita lineman」

本題に入る前に、まずはここでジェームス・テイラーの81年~91年に出された3枚のオリジナルアルバムのジャケットを順に見てみましょう。

 

Dad Loves His Work

Dad Loves His Work

 

 

 

Never Die Young

Never Die Young

 

 

 

New Moon Shine

New Moon Shine

 

 

犬吠えてる間、何があった?!

いやー、ここまで素晴らしい3段構成はなかなかないですよ。アルバムタイトルも秀逸ですね。『Never Die Young』の後が『New Moon Shine』て。できすぎでしょう。

何せもともとイケメンの方なのでね、余計にギャップがいい感じです。犬の悲壮感とそのあとの開き直りがすごい。

さて本題。

この、『Covers』は、ジェームス・テイラーの全キャリアの中でも少し特殊なアルバムで、タイトルの通り、全編カバー曲で構成されたある種企画盤です。カバー集というと、「”上がった”ミュージシャンが出すお遊び」として少々軽んじられる傾向にありますが、私はこの類の企画盤が大好きなんです。本当に音楽好きで楽しくやってる感じが伝わるホームレコーディング風のカバー集が、気負って作りこんだオリジナルアルバムをかるーく超えることって結構あるんです。それこそジョン・レノンの『ロックンロール』とか、ビーチボーイズの『パーティ』とか、彼らの他のアルバムと比べてもCD棚から取り出す回数は上位に来ますね。

このアルバムも終始リラックスムードですが、とにかく参加メンバーが一流ばっかりなので、ふにゃけた感じは一切ありません(特にマイケル・ランドウのギターがイイ)。

選曲の幅も広く、エルヴィス・プレスリーエディ・コクランバディ・ホリーのロックンロールからミュージカル、モータウンやカントリー、意外なところではフィリーソウルの名曲「サディー」(オリジナルはスピナーズ)など幅広いですが、特にJTらしさと曲の特性がうまくはまったと思うのは、「ウィチタ・ラインマン」でしょう。

この曲はもともと1968年にグレン・キャンベルがヒットさせたものですが、曲を書いたのはジミー・ウェッブ。先日の「天パのジャケットで名盤5選」の中でも紹介しましたが、独特の寂寞感がある曲を作るんですよ、この人。「ウィチタ」ってのは地名で、「ラインマン」は「架線作業員」というような意味です。荒涼とした郊外の土地で、架線の補修をしながら思い人への思慕を募らせるという、ジミー・ウェッブならではの悲恋の歌詞に洗練されたメロディー。これにジェームス・テイラーのちょっとだけウェットな声がよく合うんです。

 

Wichita Lineman

Wichita Lineman

 

この他も外れ曲のない名盤です。また、肝心の頭皮の方も、かぶりものという基本テクニックを使うことで、いい感じに隠れてます。ラフで自然体な魅力のこの名盤にぴったりの装飾法ですね。素晴らしい。

 

 

The Beach BoysSummer Days

 

サマー・デイズ

サマー・デイズ

 

 

  • 装飾テクニック:髪の毛以外も脱いでみる
  • ごまかし度:★★★★
  • オススメ曲:「You're So Good」

オーソドックスな「かぶりもの」というテクニックから急激に難易度が上がります。

とにかくその活動の初期から毛髪のくたびれ具合には定評があったのが、ビーチボーイズのメインボーカリストであり、作詞担当であり、ビジネス的リーダーのマイク・ラブ。彼はそのたぐいまれなセンスとこれまでの人生経験から、1967年のアルバム『スマイリー・スマイル』の中の「She's Going Bald」という曲で、とんでもない歌詞を披露しています。手持ちのEMI版に掲載されている対訳を引用してみましょう。

絹のようにツヤツヤの髪が

彼女の顔に落ちた、風もないのに

(中略)

手遅れさ、ママ

何をやっても髪の毛は戻らない

二度と、二度と、二度と、二度と、

戻っては来ない

二度と、二度と、二度と

何で作った、こんな曲!

 

She's Goin' Bald

She's Goin' Bald

 

さて、このように毛髪に関しては一家言あるマイク・ラブですが、この『サマー・デイズ』というアルバムでは、ビーチボーイズにしかできない意外な技法で毛量の少なさを隠蔽します。それこそが、「頭皮以外でも皮膚の露出面積を増やしてカムフラージュする」なのです。肌色を隠すなら肌色の中というわけですね。対象物にかぶせるのではなく、それ以外を脱がすという逆転の発想です。

内容的には、いかにも夏のサウンドトラックと言うべきビーチボーイズらしいさわやか路線の曲が並びます。が、ブライアン・ウィルソンの作り出す音楽構造、ハーモニーやバックトラックをよくよく聞いてみれば、いよいよそれが以前にも増して複雑になってきており、『ペット・サウンズ』直前期ということを深く感じさせるものとなっております。

このアルバムの有名曲と言えば、話題のマイク・ラブがメインを張る「カリフォルニア・ガールズ」ですが、とにかくブライアン・ウィルソン渾身のイントロが素晴らしい名曲ですね。

 

California Girls

California Girls

 

 私のオススメは「You're So Good」という地味曲。ギターのフレーズとコーラスがガッチリかみ合ったブライアンの天才性がフワっと発揮された隠れた名曲です。

 

You're So Good to Me

You're So Good to Me

 

この他にも、ジェフ・バリー=エリー・グリニッチによるクリスタルズのカバー「Then I Kissed Her」や、メンバー全員による心洗われる美しいハーモニーが聞ける「And Your Dream Comes True」など佳曲もあります。なかなか好きなアルバムです。

 

 

山下達郎『COZY』

 

COZY

COZY

 

 

  • 装飾テクニック:フィギア化
  • ごまかし度:★★★★★
  • オススメ曲:「DONUT SONG」

7年ぶりのオリジナルアルバムで、アーティストイメージとしてその顔を出さないわけにはいかないという事情がある中での見事なやりくり!

山下達郎は、言うまでもなく日本のポップミュージック界を開拓してきた第一人者であり、2016年現在も現役で活躍する偉大なポップス職人です。しかし、ある時点からの彼の髪型が、人生に希望を与えるポップミュージシャンとしては、現実の非情な時の流れを感じさせすぎてしまう(この現象を以下『頭皮ギャップ』と呼称します)というのもまた事実であります。

しかし、偉大な山下達郎とそのチームは、アーティストイメージをファンにうまく植え付けながらも頭皮ギャップを起こさせない巧みなアートワークを展開していくのです。たとえば、2012年に発売された、彼の初めてのオールタイムベスト『オーパス』を見てみましょう。

 

OPUS 〜ALL TIME BEST 1975-2012〜(通常盤)

OPUS 〜ALL TIME BEST 1975-2012〜(通常盤)

 

 かわいい!!

これは、山下達郎ファンにはおなじみ、とり・みき氏による「タツローくん」のイラストです。だいぶ肌色の面積は多めながら、頭皮ギャップは一切感じさせない、しかも、「山下達郎」のパブリックイメージを損なわず補強する、素晴らしいアートワークなのであります。

さて本題。この『COZY』というアルバムは、前作の『アルチザン』から実に7年ぶりとなるアルバムだけに、山下達郎のスタジオアルバムの中では、収録時間最長・収録曲最多を誇る充実盤。それだけにアートワークのコンセプトは困難を極めたことでしょう。何せ、「老い」を感じさせれば敬遠されるポップミュージックの世界。それでいて「山下達郎」の看板を大きく掲げたいという思いは強い。両方の課題を一挙両得で解決する絶妙の一手、それが「フィギア化」と言えるのではないでしょうか。

内容の方についても、前述のとおり質量ともに7年分の集大成とあって、「これ、ベスト盤?」と見まごう完成度を誇ります。全部好きですが、セカンドライン大好きな私のオススメは、何と言っても「ドーナツ・ソング」。なんてキュートな曲でしょう!ただしこの曲、ジャケットがまかり間違って本人の実写だったら「何が『ドドッドッドドッドーナツ』じゃ!」となってた可能性もありますよ。そういう意味でもベストトラック。

その他、営業マンの悲哀を書いた「セールスマンズ・ロンリネス」や、山下達郎には珍しい弾き語り風の「いつか晴れた日に」など、地味ながら名曲がたくさん。持ってて間違いない1枚です。

 

Elton John 『Honky Château』

 

ホンキー・シャトー+1(紙ジャケット仕様)

ホンキー・シャトー+1(紙ジャケット仕様)

 

 

  • 装飾テクニック:トリミング
  • ごまかし度:★★★
  • オススメ曲:「Roket Man」

ここに来てのベタなごまかし方!

エルトン・ジョンもその手の素質を早くから見せていたことで有名ですが、計り知れない音楽的才能の巨大さを持ってねじ伏せた感があります。まあごまかし方はジャケットを見ての通りなので、あまり突っ込んで書きません。

エルトン・ジョンと言えば私はバラードなので、このアルバムではやっぱり「ロケット・マン」か「メロウ」ですね。特に「ロケット・マン」のドラマティックさ!この曲の歌詞は、「火星年代記」や「華氏451」などで有名なSF作家、レイ・ブラッドベリの同名小説からヒントを得ています。小説の方は、宇宙飛行士の父親が、少しの間地球に帰り、「もう宇宙なんて危険なところには行かんよ」と言いつつも、自分の性には逆らえず、家族の心配も振り切って再びロケットに乗り込み、太陽に落っこちるという、まあそういう話です。


悲壮感と壮大さを兼ね揃えたこのストーリーを音楽で表現しきるのは、流石天才エルトン・ジョン。なんとなくSFが似合う風貌も功を奏し、「ロケットマン」は大ヒット。この曲とこのアルバムを足がかりにして、エルトン・ジョン70年代の爆走が始まるわけです。文句無しの名盤。

 

 

桂歌丸真景累ヶ淵・豊志賀の死』

桂歌丸9 真景累ヶ淵-豊志賀の死

桂歌丸9 真景累ヶ淵-豊志賀の死

 

 

  • 装飾テクニック:なし
  • ごまかし度:-
  • オススメ曲:「豊志賀の死」

 結局ネタにしちゃったほうがいい!

ということで今日はこれがやりたかっただけなんです。歌丸師匠、お疲れ様でした。

まあ何でもいいんですが、歌丸師匠といえば怪談噺というイメージが強いので、怪談の代表、三遊亭圓朝の大作「真景累ヶ淵」の中から「豊志賀の死」が収録されたこのCDをオススメさせていただきます。「真景累ヶ淵」という演目はとにかく長くて、歌丸師匠もボックスセットみたいなものを出してるんですが、それをいきなり聞くのはちょっときつい。ということで、この噺の核心「豊志賀の死」を収録したモノが、最初に聞くのにはちょうどいいでしょう。

歌丸師匠の語りは非常に手厚いことでおなじみです。背景知識がなくても世界観に入れるよう、丁寧に説明してくれるので、安心して聞けます。談志師匠とは真逆のやり口ですね。娯楽としては歌丸師匠の方が親切なやり方だと思いますね。まあこの辺は好き好きですが。

 

 

まとめ

というわけで、毛などなくとも立派に仕事をされている表現者を見て、同じ境遇にいる皆さんも勇気を持って生きていってくれればいいと思いますね。堂々としてればいいんですよ。髪じゃなく中身で人は判断しますから、一生懸命やっていればいいんです。頑張りましょうね。

さあ、これを書いてる時点で深夜の3時です。もう髪に悪影響なので寝ます。日課の頭皮マッサージをして、リアップ塗って。どんなに偉い人や尊敬する人がハゲていても、僕だけは絶対ハゲたくないんで。頭皮が60%以上見えるようになった瞬間私は植毛します。恥も外聞も捨てて。ハゲをさらすよりはマシなんで。あ、ハゲって結局言っちゃった。まあいいか。

 

では、笑点最終回、しっかり見ましょう!