Add Some Comedy To Your Day

フリーの小噺と好きな音楽

天才てれびくんの伝説的音楽コーナー「ミュージックてれびくん」の名曲10選(2000~2001年度編)

最近近所のレンタルCD屋がつぶれまして、仕方なしに往復12kmの道のりをチャリ漕いでね、この企画書くために種ともこ遊佐未森のCD借りに行ったんですわ、街中のTSUTAYAに。そしたらね、両方ないんです。そこそこ売場面積広めの地方都市のTSUTAYAで、種ともこ遊佐未森がないんですよ!もう怒りに打ち震えましたわ。

ただ人生、怒ってもどうしようもない時はどうしようもない。往復12kmチャリ漕いで、何も借りないんじゃもったいないんで、志ん朝師匠の「寝床」「刀屋」「真景累ヶ淵~豊志賀の死」が入ったCD借りて帰ってきました。

 

 

 

 志ん朝師匠の音源にハズレはありませんが、特に素晴らしかったのは「寝床」で、旦那の義太夫を回避したいという店子の言い訳をつなぐ場面が、ジャイアンリサイタルからなんとか逃れたいのび太スネ夫らと重なって、爆笑に次ぐ爆笑でした。やっぱり志ん朝師匠は人情噺より滑稽噺の方がいいです。そのうち「ロックンロール落語」のネタにしたいと思います。

 

さて、というわけで前回の続きです。ちなみに僕が「天才てれびくん」を真剣に視聴していたのは2001年あたりまでですので、続きはありません。

2000年に中学生になった僕は、徐々にこの子供向け番組から離れていくことになります。最初その理由は「興味が薄れた」ということではなく、部活だったり塾だったりで、帰宅する時間が夜遅くなっていたことや、中学に上がったことで、天才てれびくん談義ができる山口君や橋本君といった友人がいなくなったことによります。

まだ弟はこの番組を見ていましたので、たまに6時ごろ家に帰ることができた日は、「そんな幼稚な番組には興味はないぞ」というそぶりで、こっそり横目で見てました。うん、相変わらず楽曲のクオリティは高い。しかし、特に2000年度の中盤あたりから、「プロのミュージシャンから本格的に歌唱を学ぶ」みたいな傾向が出てきた*1ところで違和感が出始めて、そこから本当に興味がなくなっていきました。ガチの音楽やるなら最初からプロが出してるCD買って聞いた方が早いということに、小遣いが月2000円に値上がりした僕は気づき始めていたのです。

前述の「寝床」という噺は、素人のやる芸事を皮肉った話ですが、時に素人が密室で披露する芸の〈真似事〉は、玄人の芸では見られない、説明不能の光を放ちます。そうしたある種の初期衝動がこのコーナーから失われて行くのと動きを合わせて、僕のアイドルはモンキークイーンから山下達郎になっていくのです。

前置きがまたも長くなりましたが、今あらためて映像を見ると「とか何とか言ってやっぱいいな」と思える2000~2001年度のMTK名曲を今日はご紹介します。

 

『たんぽぽ』

歌:福田亮太 作詞・作曲:つじあやの 編曲:タケカワユキヒデとThat's on Noise

オリジナルはゼロ年代ナチュラル系シンガーソングライターの旗手、つじあやの

 

つじベスト

つじベスト

 

 

後日つじあやの本人が歌うバージョンを聴いて、印象の違いにびっくりしました。ジュリーの物まねで知られる渋すぎてれび戦士として、異色の存在感を発揮していた福田亮太くんが歌うこのバージョンは、映像と相まってストーカーソングギリギリの危うい線を漂っておりました。が、それがなんだか癖になるというかなんというか、不思議な仕上がりでしたね。「ピアニカ」という楽器がこんなに切ない音色を出すんだということを知ったのも、この曲のこのバージョンのおかげでした。

映像はなぜか眼科での検診中に、好きな女の子(99~02年度てれび戦士安齊舞)とデートをする、という妄想(?)という設定。これも、何度か見るうち癖になります。まあ癖になる必要は全然ないけど。

 

『ダイナマイト』

歌:ザ・ヤマチーズ(山元竜一、村田ちひろ)作詞・作曲:Rod Stewart/Andy Taylor 日本語訳:桑原永江

オリジナルはロッド・スチュワートですが、何でこの曲を選んだのかな?と思うくらいロッドの全キャリアを通しても地味な曲です。自分が大学生になってからロッド・スチュワートがマイブームとなるのですが、このコーナーがなければ完全にスルーしていた曲だと思います。

 

Out of Order

Out of Order

 

 「地味な曲」と言っても曲調が地味というわけではなく、むしろあまりにもロッド・スチュワートらしい、ストレートなロックナンバーゆえ、スルーされることが多いのでは、と考えられます。

歌うのは、天てれ黄金期を支えた名戦士、山元竜一・村田ちひろの両名ですが、これは単に「ハスキーボイス」というロッド・スチュワートとの共通項からの人選でしょう。二人とも、特に山ちゃんはこの後めちゃくちゃ歌がうまくなっていくのですが、このころはまだ普通の小学生よりちょっと上手なくらい。むしろそこが非常に魅力的で、特にちひろちゃんの舌っ足らずなかすれ声は僕を一瞬で虜にしました。しばらくはこのちひろちゃん目当てでこの番組を視聴することとなります。

 

『ラッキー・ラブ』

歌:スウィート・ピクルス(佐久間信子ダーブロウ有紗俵有希子) 作詞・作曲:Matt Aitken/Mike Stock/Peter Waterman 訳詞:タケカワユキヒデ 編曲:タケカワユキヒデとThat's on Noise

女の子3人組ユニットという構図は、モンキークイーンの二匹目のドジョウを狙う魂胆がミエミエではあるものの、キュートでドラマティックな映像とダンス、そして素晴らしい歌唱力には何者もあらがえません。

オリジナルはカイリー・ミノーグのセカンドシングル『I Should Be So Lucky』で、世界的に大ヒットとなった曲です。


Kylie Minogue - I Should Be So Lucky - YouTube

とにかく全体の完成度が高い!素人芸でも極めればここまでやれる、という限界を示したものだと思います。映像もきっちりオチのあるストーリー仕立てで、ポップミュージックの楽しさが凝縮された3分間ではないでしょうか。個人的には2000年度の最高傑作です。このユーロビート路線で、もう何曲かやってほしかった!

 

『I Like You』

歌:ザ・フルース・フラザース2000(橋田紘緒、伊藤俊輔) 作詞・作曲:忌野清志郎 編曲:タケカワユキヒデとThat's on Noise

なぜか突然のRCサクセション。こう並べてみると選曲の幅がむちゃくちゃ広いことに気付きます。


RCサクセション I Like You - YouTube

癖のある忌野清志郎ボーカルも、もちろんその後好きになるものの、当時の僕にその良さがわかったかどうかは微妙なところです。「同世代の少年が歌っているから」という理由で好きになれた曲というのがこのコーナーにはいくつもありますが、これはその最たるものでしょう。もしかしたらボブ・ディランみたいな癖の強い歌手を取り上げてくれれば、もうちょっと早く好きになれたかもしれません(ちなみにホフ・ディランはこの2年前にやってる)。

コミカルな映像が曲にとてもマッチしてました。結構好きです。

 

『愛はきらめきの中に』

歌:セブン・ハーツ(饗場詩野、伊藤俊輔佐久間信子ダーブロウ有紗、モニーク・ローズ、エバンス太郎、熊木翔) 作詞・作曲:Barry Gibb, Robin Gibb and Maurice Gibb  訳詞:タケカワユキヒデ  編曲:タケカワユキヒデとThat's on Noise

オリジナルはThe Bee-Gee'sの大ヒット「How Deep Is Your Love」ですね。珍しく70年代からの選曲です。


How Deep Is Your Love [HQ Audio Lyrics] The Bee ...

メインのシンガーが7人は史上最多だと思われます。全員がそこそこ年長者組で構成されておりますが、MTK初参加のメンバーもちらほら見受けられます。オリジナルのビージーズは兄弟グループなので、かなり似た声質でのハーモニーになっており、それゆえ統一感がある仕上がりなのですが、天てれバージョンはそれぞれ声に個性があって、しかもそれを全開にして歌っているので、かなり面白いハーモニーになっています。特に初参戦の熊ちゃんこと熊木翔くんの澄んだ歌声はすごいです。熊ちゃんの天才的な歌唱センスは次年度に大いに発揮されることになります。

ビージーズは大好きなグループですが、この曲に限ってはいまだに天てれバージョンの方が好きです。

 

『君のそばにいたい』

歌:ハッスル3(山元竜一、熊木翔、竪山隼太) 作詞・作曲:Mike Hawker/Ivor Raymonde 訳詞:タケカワユキヒデ 編曲:タケカワユキヒデとThat's on Noise

ここから2001年度となります。

原曲はダスティ・スプリングフィールドですが、このバージョンはむしろ大ヒットしたベイ・シティ・ローラーズのものを参考にしています。


I only wanna be with you-Bay City Rollers - YouTube

山元竜一、熊木翔、竪山隼太という男子3人組のユニットですが、たぶん女の子受けは相当良かったんじゃないかな、と思います。みんなかっこいいし、歌うまいし。

2001年度1曲目にふさわしい選曲と出来でしたね。

 

『元気を出して』

歌:アップル・シェイク(ダーブロウ有紗、モニーク・ローズ、岩井七世) 作詞・作曲:Ben Findon, Mike Myers and Bob Puzey 訳詞:タケカワユキヒデ 編曲:タケカワユキヒデとThat's on Noise

鉄板の女の子3人組多国籍ユニットです。挑むのはノーランズのヒット曲『Gotta Pull Myself Together』 。ちなみにもともとの邦題は『恋のハッピーデート』(ダセぇ!)

ABBAの『ママ・ミア』をモンキークイーンがやった時もそうでしたが、最大のヒット曲をあえて外すのがいいですね。普通の感覚なら『ダンシングクイーン』『ダンシングシスター』やるでしょう。


Nolans - Gotta Pull Myself Together - YouTube

基本的に今までのMTKもずっと編曲がタケカワユキヒデゴダイゴの人)で、そのことにあんまり触れてきませんでしたが、これはむちゃくちゃアレンジ好きですね。もちろんある程度オリジナルを踏襲してるんですが、原曲にないブリッジを挿入してたり、ギターポップっぽく仕上げてたり、ボーカルを相当加工してテクノっぽくしてたり、いろいろ工夫してます。この天てれバージョンはその甲斐あって原曲にない切なさを感じさせます。演奏はどんどん盛り上がるんですけど、声はあくまで機械的というか。そこの「ズレ」みたいなものが時間の経過の無常さを表していますね。これは、80年代ユーミンや今のパフュームのやり口です(たぶん)。

当時はそうでもなかったですが、今聞くとこれが2001年度ベストトラックという感じです。あと、七世ちゃんかわいい。

 

わたあめ―岩井七世写真集

わたあめ―岩井七世写真集

 

 

『きれいな水』

歌:熊木翔 作詞・作曲:YO-KING 編曲:タケカワユキヒデとThat's on Noise

真心ブラザーズで知られる倉持陽一がソロで発表した曲がオリジナルです。とにかくボブ・ディラン譲りの主張しまくるしゃがれ声が特徴的なYO-KINGですが、澄んだボーイソプラノ・天使の歌声・天才歌手・熊木翔の手にかかれば、まるっきり違う世界観を持った曲に様変わりします。

これはもうこの時期の熊ちゃんにしか歌えなかった一生モノの名バージョンでしょう。「退屈を不幸と間違えてしまわぬように」といった、YO-KINGらしい珠玉の言葉の数々が、熊ちゃんの澄んだ声によって、乾いた体にきれいな水がいきわたるように浸透していく感覚。いつ聞いても多幸感を味わうことができる名曲・名演です。

 

『本日晴天』

歌:俵有希子 作詞:谷穂ちろる 作曲:松浦雅也 編曲:タケカワユキヒデとThat's on Noise

オリジナルは1988年に発表された原田知世のシングル「太陽になりたい」のB面曲*2またどえらい渋目のチョイスですね…。

いわゆる「ボ・ディドリー・ビート」でぐんぐん加速していくポップな名曲で、これが後藤次利のやっつけ仕事のB面で終わるのは惜しいと思う気持ちはよくわかります。

曲の発掘力もさることながら、それを最適な人選で挑むのがMTK。どこか幸薄そうな子がよく似合いそう、ということで、ボーカルを取るのは希代の薄幸系美少女・俵有希子

江ノ電沿線のノスタルジックな映像を交えて、「もう二度と会えないけど、前に進んでいこう」という切なくポジティブな想いが歌われる名曲。

 

『花のランランパワー』

歌:ノーティー・ハリー(エバンス太郎、松井蘭丸、八木俊彦) 作詞・作曲:倉持陽一 編曲:タケカワユキヒデとThat's on Noise

リアルタイムでしっかり見て、「いいな」と思ったのは、上の『本日晴天』までです。今回この原稿を書くにあたって、あらためて全部のMTKを見返してみたんですが、これが一番いい意味で期待を裏切られました。こんなにいい曲だったんすね、これ。

歌詞及び曲のハチャメチャ感はさすが倉持陽一。そしてハチャメチャながらもしっかりとまとめあげる生真面目さも、真心ブラザーズならでは。

破壊力抜群の男子3人組ボーカルの中でも、とくにすべてをなぎ倒す勢いで歌い倒すのが、やぎっち様こと八木俊彦(当時小学2年生)。ただし、一方的なハチャメチャで終わらないのは、サビの「ランランラリルレロリララン」のハモリがしっかり決まっているからこそ。ロックンロールの爆発力と切ないノスタルジーを喚起させる、隠れに隠れた名曲です。

天才テレビくんMTK~花のランランパワー~ ‐ ニコニコ動画:GINZA

 

 

ということで、以上です。

ちなみに、本日取り上げた曲は、すべてこちらのDVDで視聴できます。

 

 

 

 

あらためて見てみると、やっぱりこれが自分の音楽のルーツなんだなあ、と思いますね。ちょっとでもこの懐かしさに共感していただける人がいれば幸いです。あと、あくまで個人的な趣味で選んでるので、「この曲がない」というのは勘弁してください。

ではでは。

 

*1:実際に「ヒットをねらえ!」というコーナーと連動して、『HONEY BEAT』という曲が広瀬香美プロデュースでシングル発売された。

*2:ちなみにA面の「太陽になりたい」は作詞:谷穂ちろる、作曲・編曲:後藤次利