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フリーの小噺と好きな音楽

ロックンロール落語「デトロイトの寿司」

※この噺は、実在の人物とは一切関係ありません。

 

マイケル「ポウ!ポウ!ポウ!どういうことなんだ、毎日毎日レコーディング、TV出演、それが終わればPVの撮影にライブのリハーサル、たまに家に帰っても外にはパパラッチがしっかり張り込みをしてる。プライベートなんてあってないようなものじゃないか、こんなの僕が望んだ生活じゃないよ!」

 

ジャーメイン「そういうなよ、マイコー。今じゃ俺たち兄弟の中でもお前が一番の稼ぎ頭。前のアルバムなんか、何十万枚も売れたらしいじゃないか。」

 

マイケル「だけど空虚さ。時々考えちゃうんだ、もしかしたらこの先、子供のころ兄さんたちと食べたケンタッキーよりおいしいものには出会えないのかもしれないって」

 

ジャーメイン「ってマイコー、そう言いながらさっきから何本食ってるんだよ、ケンタッキー。この部屋、鶏肉食いすぎたやつが落ちる地獄みたいになってるぞ。兄貴と話すときくらいケンタッキーを置けよ!」

 

マイケル「ポウ!ケンタッキーは最高だよ!」

 

ジャーメイン「そんな不摂生な食生活してたら、高血圧で倒れるぜ。マイコー、もっとヘルシーなものを食べないとだめだよ」

 

Smooth Criminal

Smooth Criminal

 

 

マイケル「ちょっと待ってよジャーメイン。世の中のヘルシーな食べ物なんてみんなBadだよ。Too Bad だよ。ヘルシーなものはおいしくない。おいしくないよ、ジャーメイン。」

 

Bad

Bad

 

 

ジャーメイン「そう思うだろ。だけどあるのさ、マイコー。ヘルシーで、しかもうまいっていう、そんな食べ物が」

 

マイケル「わかったよ、ジャーメイン。ドラッグだろ。言っとくけど、僕はドラッグはやらないよ。ドラッグなんて勧めるようじゃ、たとえ兄さんでもI want you back!」

 

I Want You Back

I Want You Back

  • ジャクソン 5
  • ポップ
  • ¥250

 

帰ってほしいの

帰ってほしいの

 

 

 

ジャーメイン「落ち着けマイコー、ドラッグじゃない。俺が言ってるその魔法の食べ物ってのは、アメリカ人にはなじみのないものだからな。知らないのも無理はないよ。」

 

マイケル「アメリカ人にはなじみのない?どこか外国の食べ物かい?」

 

ジャーメイン「ああ、そうさ。このところジャパンから伝来したSUSHIという食べ物が全米を驚愕させているのを知ってるかい。」

 

マイケル「SUSHI?なんだい、それは。」

 

ジャーメイン「酢飯にいろいろなネタを乗せて食べる料理さ。」

 

マイケル「酢飯?そんなものが本当にうまいのかい?」

 

ジャーメイン「これが最高なのさ。最近ここデトロイトにもSUSHI SHOP がオープンしたんだ。マイコー、さっそく行ってみないか?」

 

マイケル「SUSHIか…。スーパースターとして世界の美食を食べつくしてきた僕だけど、たまには庶民がどんなものを食べているのか知るのも悪くないね」

 

ジャーメイン「よし決まった!早速SUSHI SHOP に乗り込んで、今夜はブギーナイトと行こうぜ!」

 

Blame It On the Boogie

Blame It On the Boogie

  • ザ・ジャクソンズ
  • R&B/ソウル
  • ¥200

 

 

ということで、マイケルとジャーメインは、連れだって地元デトロイトの回転寿司屋に向かったのであります。

 

マイケル「これがSUSHI SHOPか!ジャーメイン、すごいぞ、レーンの上を皿が回っている!あの皿に乗っているのがSUSHIか?」

 

ジャーメイン「そうみたいだな!おいマイコー、さっそくうまそうなのが流れた来たぞ」

 

マイケル「おいおいおい、ビーフじゃないか!こっちにはミートローフだ!僕の大好きなケンタッキーが乗ったものまで!うまそうだ、さっそくいただこう。うん、うまい!これがSUSHIか、なかなかうまいぞ、ジャーメイン」

 

ジャーメイン「待て待てマイコー。SUSHIの基本はフィッシュだ。そっちもいいが、このザリガニSUSHIと遺伝子組み換えゼラチンフィッシュSUSHIも食うんだ。アルファベットはABCから、SUSHIはフィッシュからさ」

 

ABC

ABC

  • ジャクソン 5
  • ポップ
  • ¥250

 

 

マイケル「OKジャーメイン!じゃあそれもいただこう。ふむ、こちらもうまい!ザリガニのほうはケイジャンソースの味が効いてる。遺伝子組み換えゼラチンフィッシュは、何とも言えない不思議な食感。かむたびに僕の舌をビートする!すごいぞ、SUSHI!思った以上にうまい!」

 

Beat It

Beat It

 

 

ジャーメイン「マイコー、聞いた話じゃあ、本場日本では、SUSHIに何か特製のソースをかけて食うみたいだぜ」

 

マイケル「特製のソース?あ、きっとこれだな。ここにウスターソースとマヨネーズが置いてある。これをお好みでかけろということだな」

 

ジャーメイン「なるほど、そういうことか」

 

マイケル「僕はマヨネーズが好きだから、こっちをかけよう(ドバドバドバ)」

 

ジャーメイン「おいおいマイコー。いくらなんでもマヨネーズをかけすぎじゃないか?」

 

マイケル「ジャーメインこそ、ソースをかけすぎじゃない」

 

ジャーメイン「そうかな?」

 

マイケル「まあいいじゃない。黒だろうと白だろうと、SUSHIのおいしさにきっと変わりはないさ」

 

Black or White

Black or White

 

 マイケル「ポウ!ポウ!最高だ!SUSHI!」

 

ジャーメイン「病みつきじゃないかマイコー。もう40皿も食べてるぜ」

 

マイケル「ジャーメインこそ、50皿は行ってるじゃないか!」

 

ジャーメイン「まったくこいつはデンジャラスなフードだぜ!」

 

 

デンジャラス

デンジャラス

 

 

 

こうしてマイケルとジャーメインはSUSHIを堪能したのであります。

すっかりSUSHIが気に入ったマイケルは、それから数年後の1987年、ソロで来日するに至ります。

 

プロモーター「ミスタージャクソン。本日のお食事はいかがいたしましょうか」

 

マイケル「決まってるさ!僕が日本に来たのはSUSHIを食べるためなんだ。日本で一番おいしいSUSHI SHOPに僕を連れてってくれよ」

 

プロモーター「さすがミスタージャクソン!日本の食文化をよく御存じで!わかりました。最高の寿司屋を押さえておきますよ、ミスター!」

 

マイケル「今夜はSUSHIをノンストップで食べ続けるよ!ポウ!」

 

 

 

 

こうしてマイケルは、ライブ関係者と、銀座の超高級寿司店に出向いたのでございます。

 

大将「へいらっしゃい!」

 

マイケル「君がこの店のボスだね。最初に言っておくけど、僕は相当のSUSHI通なんだ。しっかり頼むよ!」

 

大将「へい!じゃ、まずは何を握りやしょう」

 

マイケル「まずは景気づけにビーフでいこうか」

 

大将「え!?ビーフでございますか!?それはうちにはおいてないんですが…」

 

マイケル「なんだって!?それじゃあミートローフは…」

 

大将「ございません!」

 

マイケル「ケンタッキーは…」

 

大将「ございません!」

 

マイケル「なんてこった!?話が違うぞ。じゃあいったいこの店には何があるんだ」

 

大将「新鮮な魚介を取り揃えております」

 

マイケル「そうか!ジャーメインも、SUSHIの基本はフィッシュだって言ってたな。それじゃあ遺伝子組み換えゼラチンフィッシュをお願いするよ!マヨネーズたっぷりでね!」

 

大将「い、遺伝子組み換え!?そんな恐ろしい魚は当店にはございません!」

 

Thriller

Thriller

 

スリラー

スリラー

 

 

 

マイケル「なんなんだこの店は!僕のほしいSUSHIが全くないじゃないか!いったいどこからネタを仕入れているんだい!」

 

大将「築地の市場でございますが…」

 

マイケル「NO!それはダメだよ!SUSHIはやっぱりデトロイトじゃなきゃ」

 

(♪出囃子)


三遊亭圓楽「目黒のさんま」

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