漫才「どっちが大事?」
久しぶりに漫才の台本のようなモノを書きました。著作権フリーですのでよければどうぞ。
AB「どうもー、よろしくお願いします」
A「こういう漫才コンビって、結構お互いのこと悪く言ったり、貶しあったりするんですけど、僕たちはかなり仲が良くて」
B「そうですねー、相当仲イイですねー」
A「まあ、どっちかって言ったら僕の方が彼のことを好きなんですけど」
B「いやいやいや、僕の方の好きの方が大きいですよ」
A「いやー、僕です。僕の好きは半端じゃないですよ」
B「いや僕です。僕の好きの方はなんかもうちょっとキモいですよ。たぶん引くと思います」
A「えー、マジでー。じゃあさじゃあさ、仮に僕と君の恋人が川で溺れていて、一人しか助けることができないとしたら、どっちを助ける?」
B「Aさんですね」
A「マジか!じゃあさじゃあさ、僕が人類を滅ぼしかねない危険なウイルスを体に宿した病原体で、世界中の人が僕を殺そうとしてきたら、さすがにこれは…」
B「僕一人でもAさんを守ります。たとえ世界を敵に回しても」
A「ひょー!!じゃあさじゃあさじゃあさ」
B「無駄ですよ。僕はどんな選択であろうとAさんを選びます」
A「いや、そうだろうけどな!そうだろうけど、最後これだけ聞かせて!」
B「なんですか」
A「Bくんって確かお寿司好きだよね」
B「ええ、好きですね」
A「じゃあさ、もし仮に僕が死ぬか、Bくんが二度とお寿司を食べられなくなるか、これだったらどっちよ!いや、まあこれはあれか、ゴメンゴメン、一応ね!まあ当然これはあれよね、ね!Bくん!(テンション高く)」
B「ふむ…(急に真顔で。かなり間)」
A「あ、あれ?Bくん?」
B「あの、一点確認したいんですけど」
A「はいはい、もちろん!なんでしょう」
B「『寿司』っていうのは、もうあらゆる種類の寿司ネタ全てを含みます?例えば、赤身はダメだけど光物はオッケーとか。ホタテとかの貝類は食べてもよしとする、とか」
A「ん?いや、一応全種類だね。寿司と名のつくモノ全部っていうつもりで言ったかな」
B「なるほどなるほど」
A「あ、なんかダメだった?」
B「いやいやいや、いいです、大丈夫です(ちょっと不機嫌そうに)」
A「そっか、よかった。なんか、ごめんね」
B「いやいや、全然いいですよ。まあアレですもんね、巻き寿司はありですもんね。ネギトロとか」
A「いや、いやー、『寿司』って言ったら巻き寿司も含むんじゃないかな?普通」
B「え?ネギトロダメっすか?」
A「ネギトロアウトだね、アウトだと思う」
B「あー、ネギトロダメなんすねー…。チッ(あからさまに舌打ち)」
A「あ、なんか、ゴメンね。マジで。あ、やっぱあれかな。ネギトロはいいってことにしようか?」
B「いや、いいっす。まあ確かにネギトロは寿司ですわ。まあ、しょうがないです(相当不機嫌そうに)」
A「いや、なんかほんとゴメンね、こんなことになっちゃって。ネギトロ、美味しいもんね」
B「いや、いいっすって(だいぶイライラしながら)」
A「いやほんとに、ネギトロの件はマジで、ゴメンネ」
B「いやだから、もういいですから!(大きな声で)謝られてもしょうがないですから、ネギトロは帰ってこないですから!」
A「そっか、ゴメン…。そうだよね…」
B「ハァー(あからさまなため息)。まあいいっすわ。チラシがあればもういいです」
A「え?」
B「いや、だからチラシはありですよね?」
A「いや、チラシって、チラシ寿司かな?いやまあそれも、チラシ『寿司』って言うし、僕は無しだと思ってた」
B「ハァァァ?!(ブチ切れ)なんじゃそれ!ありえんわ。それならもうお前切るわ」
A「え?え?いや、ゴメンゴメンゴメン!え?チラシダメだった?」
B「チラシっていうか、もうネギトロがアウトな時点で内心『あ、ないな』って思ったけどな」
A「あー!やっぱり!ネギトロのくだりは結構プレッシャーあったもんなー!やっぱあそこか!」
B「いやー、それはそうでしょ。ネギトロはでかいよ。自分でもよく譲歩したと思うもん、ネギトロに関しては」
A「そっかー!ネギトロかー!」
B「っていうか、『寿司全般』ってのがもう広すぎるじゃん。それは卑怯だわ。そんな集団でやってこられたらさ、こっちはAさんひとりなんだから、それは負けるでしょ。多勢に無勢だから、そんなん。寿司舐めすぎ」
A「そっか…。そうだよね。ゴメン…」
B「っていうことでこの話は…」
A「ちょっと待って!じゃあ仮に単品だったら僕は勝てるかな?そこだけ一応確認さしてもらっていい?」
B「ハァ?ウゼェなぁ」
A「ゴメンゴメンゴメン!お願いします!」
B「チッ…。早くしろよ」
A「ありがとう!じゃあまずマグロ!」
B「マグロのどこだよ」
A「え?」
B「だから、マグロにもいろいろあんだろうがよ。赤身とか中トロとか大トロとか、カマとかよー」
A「あ、じゃあ、中トロは…」
B「Aさん」
A「マジで!やった!ありがとう!ほんとにありがとう!」
B「うっせーなー。早く次行けよ」
A「あ、ゴメンね!じゃあ大トロ」
B「Aさん」
A「赤身」
B「Aさん」
A「カマ」
B「Aさん」
A「じゃあネギトロ!」
B「ん〜あ〜〜、Aさん!」
A「よっしゃ!単品ならネギトロに勝てた!」
B「よかったじゃん」
A「じゃあ炙りマグロ!」
B「あー、それはなー、炙ってきたらそれはマグロが勝つわー」
A「負けた!単品でも負けた!」
B「いやでも惜しかったよ。炙りマグロ相手にいい勝負してたから」
A「じゃあサーモン!」
B「Aさん」
A「トロサーモン!」
B「Aさん」
A「オニオンサーモン!」
B「Aさん」
A「よっしゃサーモン3連勝!」
B「これは快挙だと思うよ」
A「それなら炙りチーズサーモンでどうだ!」
B「あー、それは僅差で炙りチーズサーモンだね」
A「あー強い!炙りが強い!」
B「炙りは強いよー!でもナイスファイト!」
A「じゃあ海鮮丼だとどうなります?」
B「あー。何が乗ってるよ」
A「イカでかいですか!」
B「もう一個質問!その『海鮮丼』ってものの定義は、ご飯にそれらマグロサーモンイクラウニイカといった海鮮が乗っている状態を指すんだよね?たとえば、イカだけとか、イクラだけだったら今後も食べていいんだよね!(かなり興奮しながら)」
B「なるほど!」
A「ただし!この海鮮丼にはあさりのお味噌汁がついてきます!」
B「うわー!あー!ゴメン、それは海鮮丼だわ!」
A「あー負けた!セパレート可なのに!イカの寿司は食べられるのに負けた!」
B「味噌汁セットはでかいわー。あとやっぱりイカが乗ってる海鮮丼って結構珍しいしなー。意外とないんだよね。ウニとかよりかえって嬉しかったりするもんなー」
A「いや、っていうか勝率低っ!もういいですよ、どうせBくん、僕とマグロが川で溺れてて一人しか助けられないとしたら、マグロの方を助けるんでしょ!」
B「馬鹿野郎(殴る)!」
A「Bくん…」
B「海水魚のマグロを川に入れるとかどういう神経してるんだ!お前は鬼か!」
A「やっぱマグロの心配かい!もういいわ!」
AB「ありがとうございましたー」
(終わり)
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