シンガー坂本九の名曲8選 ~日本航空123便墜落事故から30年を受けて
いきなり個人的な話ですが、僕の場合は結構仕事柄出張が多く、飛行機に乗ることもしょっちゅうあります。まあでもまじめにしっかりよーく考えてみると、空飛んでまでどこかに急いで行かなきゃならない事情なんて実はあんまりないんじゃないかな、と思ってしまうのと、離着陸時はやっぱり怖いのとで、あんまり飛行機は好きじゃありません。あと、これは本当にマジな話なんですけど、飛行機乗って移動するとだいぶぐったり疲れてしまって、目的地に着くころは確実に朝勃ち状態というか、ビンビンになっていることが多く、対応に苦慮するのも地味に嫌いです。
飛行機事故で亡くなったミュージシャンと言えば、有名どころでいえばオーティス・レディングやバディ・ホリーなどがいますが、日本人だと坂本九さんが多くの人の知るところだと思います。ということで、日本航空123便墜落事故から30年を受け、「SUKIYAKI」だけじゃない、私の好きな坂本九さんの名曲8選で、今日は行ってみたいと思います。
・ステキなタイミング
ダニー飯田とパラダイスキング名義。もとはジミー・ジョーンズという人が歌ったアメリカの1960年のヒット曲。日本語詞をつけたのは、日本音楽出版ビジネスの父、漣健児。
「ビキニスタイルのお嬢さん」*1のB面として登場しましたが、こっちの方が人気が出ました。僕もこっちの方が好きです。
歌詞はその後ブラックビスケッツの「タイミング」に受け継がれた(と思う)。九ちゃんファルセットボイスは貴重。
・カレンダーガール
こちらもカバー。もとはもちろんニール・セダカの名曲。「枯葉のデュエット」ってどんなデュエットなんでしょう。意味は分かりませんが詩情にあふれた言葉ですね。元のニール・セダカもそうですが、「懐メロの人」という概念を取っ払って改めて聞いてみると完全にロックンロールの歌手ですね。「潰れたカエルの声」とでもいうんでしょうか、とってもイカしてますね。
カレンダー・ガール/坂本九 by pongjigol ポンジゴルのカレンダー・ガール - YouTube
・上を向いて歩こう
坂本九の名曲と銘打ってこれをあげないわけにはいかないでしょう。作詞永六輔、作曲中村八大という黄金の「六・八コンビ」が生み出した、日本人唯一の全米チャートナンバー1(ビルボード)記録を持つ、不朽の名曲。ここから俗に「六八九トリオ」と呼ばれる三人チームでオリジナルヒットを連発することになります。
ともあれこの曲。冒頭のシロフォン、間奏の口笛の哀愁など、聞き所は多いですが、ここでも九ちゃんの、アフタービートの感覚に優れたロックンロールボーカルが素晴らしい。節回しというか、シンコペーションの感覚というか、そういうものがこの人は非常に独特。やっぱり名曲です。
上を向いて歩こう - 'Sukiyaki' - Kyu Sakamoto (坂本 九) 1961.avi - YouTube
・見上げてごらん夜の星を
作詞いずみたく、作曲中村八大。「上を向いて歩こう」と並び、御巣鷹山事故の追悼として流されることが多いこの曲。僕は生まれてないので知りませんが、事故直後の「夜のヒットスタジオ」で、森進一がこの曲を熱唱したシーンは番組屈指の神回として語り継がれているそうです。
冒頭のメロディーがもう「勝った!」という感じですね。九ちゃんには意外と珍しい、まっとうなバラードです。まあこれは誰が歌っても名曲になったという気はします。
・涙くんさよなら
これ相当好きですね。高校時代にタゴくんという友人が下校時にいつも「た~じまくんさよな~ら」という替え歌で別れのあいさつをしていたことを思い出します。作詞作曲は日本の偉大なるソングライター、浜口庫之助。
九ちゃんの声は、なんというかちょっとコミカルに聞こえるところがあって、もう一歩線を超えるとギャグになってしまうというギリギリのところでとどまっているところが独特の哀愁を生み出しているような気がします。これももうタイトルがコミックソングの寸前ですからね。ギリギリが一番いいんですよ、やっぱり。
「さよ~なら」のところのシャウトがロックンロールを感じます。
涙くんさようなら・・坂本九 - 動画 Dailymotion
・ともだち
作詞永六輔、作曲いずみたく。アレンジもいずみさんですね。この古き良きアメリカのビッグバンドジャズ風のアレンジは後「明日があるさ」に引き継がれます。
もともと、坂本九のファンが生徒にたくさんいたという障害者支援学校からの要請で制作された曲。その経緯は今も残るそ宮城県立多賀支援学校のホームページをご参照ください。
http://www.nishitaga.myswan.ne.jp/enkaku/tomodachi/tomodachi.html
九ちゃんはこういう障害者支援を多く行った歌手としても知られていますが、それもこれも、曲がいいからこそ成立するわけです。本業でしっかりプロフェッショナルを発揮している人がやるチャリティは説得力が違います。
・明日があるさ
作曲はまたも中村八大。そして作詞は肩書不明の偉人、青島幸男。
個人的にはこういう方向でもっと曲を出してほしかったなと思います。ビッグバンドをバックにコミカルな歌詞を楽しそうに歌う、でもどこかにただよう哀愁そして切なさ。九ちゃんの魅力全開というべきでしょう。ここでも聞ける独特の符割の感覚がこのシンプルな曲を何度聞いても面白い名曲に昇華させているのではないでしょうか。
・心の瞳
僕の中学校でも合唱コンクールで隣のクラスが歌ってました。合唱用にアレンジされていたから当然かもしれませんが、とても30年前の曲とは思えないコンテンポラリーな魅力を感じました。いい曲ですよね。
九ちゃんの曲にしては珍しい、ピアノの弾き語りが中心の小品風作品。同じバラード系の「見上げてごらん夜の星を」では「いい曲でっしゃろ」という仰々しい感じが若干鼻についたが、こっちのほうはなんというか力の抜けた歌唱というか、それがいい結果になっていると思います。作詞は荒木とよひさ、作曲は僕のフェイバリットソングライター、三木たかし。
この曲が結果的に遺作となってしまったというのは、ジョンの「Starting Over」と並んで、あまりにもできすぎというか、本当に持っている人というのは「ここぞ」というタイミングで名曲を出しますね。
坂本九「心の瞳」 (原曲・歌詞字幕付き) - YouTube
というわけで、今日はシンガー坂本九にスポットを当ててみました。ほんのなめる程度でしたが、まああとはCD買って聞いてみてください。コミカル路線の方が僕は好きです。
それではまた次回、ごきげんよう。